秋の味覚サンマの美味(おい)しい季節と…


 秋の味覚サンマの美味(おい)しい季節となった。しかし先日、スーパーで1尾300円前後の高値が付いているのには驚いた。庶民の魚の顔が何かよそよそしく見えたのは気のせいか。

 今年は例年にないサンマの不漁が続いている。「日刊水産経済新聞」9日付によると、7日現在の花咲、厚岸、浜中、釧路など北海道東4港の累計水揚げは、昨年同期比の41%減となっている。相次ぐ台風襲来の影響もあるが、何より「漁場の遠さと魚群の薄さ」が原因という。

 漁場がさらに東の沖に移れば、それだけ燃料費は嵩む。しかも辿(たど)り着いたサンマの群が薄いとあっては、値が上がるのは避けられない。

 魚群の薄さは置くとしても、漁場が東に移動したのは、海水温の上昇による。相次ぐ台風の襲来も根本的には、それが背景にある。

 海水温の上昇を誰よりも切実に感じているのは漁師たちだが、一般の釣り人もその影響には敏感だ。どちらかと言えば南の海の魚であるメジナやブダイが、より北の海でよく釣れるようになったという話を聞く。

 道東沖では、サンマが不漁の代わりにマイワシ漁が好調という。豊漁不漁のサイクルについては、魚種交替論などの説がある。一時期、マイワシが不漁で、イワシも高級魚の仲間入りなどと言われたが、今や攻守所を変えた形だ。サンマ不漁の背景にある海水温の上昇傾向が、年々顕著となっているのが気になるところである。