在留邦人を救出したトルコ航空の復刻機が飛来


友好125年記念で、特別塗装機「Kushimoto」号が成田へ

在留邦人を救出したトルコ航空の復刻機が飛来

イランから邦人を救出した航空機のデザインを復刻したトルコ航空「Kushimoto(くしもと)」号の前で記念撮影する当時の乗務員や救出された日本人ら=30日午前、成田空港

 イラン・イラク戦争中の1985年、イランに取り残された215人の在留邦人を救出したトルコ航空機のデザインを復刻した特別塗装機「Kushimoto(くしもと)」号が30日、成田空港に飛来した。

 当時の客室乗務員らも同機で来日。1890年に和歌山県串本町沖でトルコ軍艦が遭難し、地元住民が救難活動に当たった事故から125周年に当たるのを記念した両国合作映画のPRイベントなどに参加する。

 邦人救出劇は、イラクのフセイン大統領(当時)が48時間の猶予期限以降にイラン上空を飛行する航空機は無差別に攻撃すると宣言したことに起因。イラン在留の外国人は一斉に出国したが、日本からは救出機が飛ばず、200人以上が取り残された。

 こうした中、軍艦遭難時の対応が広く知られ、親日家が多いトルコのオザル首相(同)が邦人救出機の派遣を決断。トルコ航空が2機の特別機を用意し、2機目がタイムリミットまで残り1時間でテヘランを飛び立った経緯がある。

 Kushimoto号到着後、駐機地区では当時の客室乗務員や救助された日本人らが参加してセレモニーが行われ、当時日産自動車の社員としてテヘランにいた沼田凖一さん(73)から客室乗務員だったアイシェ・オザルプさんに花束が手渡された。

 取材に応じた沼田さんは「航空機が到着した時、30年前のことがよみがえって涙が止まらなかった。(トルコには)感謝しても感謝しきれない」と話していた。