「小春日や石を噛みゐる赤蜻蛉」(村上鬼城)…


 「小春日や石を噛みゐる赤蜻蛉」(村上鬼城)。「小春」というのは春ではなく、11月頃の春のような穏やかな気候を指す季語になる。だから、この言葉で春の暖かさを表現するのは間違い。それにしても日本語は難しい。

 昨日は小春日の中、会社付近を散歩したが、色づき始めた葉が目立つようになった。池のある公園では多くの人が散策していた。東京の中にも、緑の豊かな公園が結構ある。

 公園の池には、飛来した水鳥が浮かんでいることが多いが、普段は人間を警戒して寄ってこない。ベンチまで近づいてくるのはハトぐらい。しかし、この日は驚いたことに水鳥たちがベンチの周りに群がっていた。

 カモやカモメ、その他名前は知らないが、遠くでしか見たことのない鳥がクチバシで毛づくろいをしたり、餌を求めるように寄って来たりした。思いがけないバードウォッチングの時間をもつことができて楽しめたが、このような経験は初めてのことだった。

 鳥は恐竜が進化したものという説があることは知られている。確かに、身近で多数の鳥が鳴いていると、どこか威圧的なものが感じられる。ヒチコック監督の米スリラー映画「鳥」の印象があるからだろうか。

 特に生ゴミを出す日は、つきまとうカラスを追い払うのが大変な時もある。各地でも野生化したペットやアナグマ等の害が増えているという。自然との共生とはいうものの、実際にはなかなか難しい。