小型ジェット旅客機MRJ、きょう初飛行
三菱航空機、50年ぶりの国産機プロジェクトは大きく前進
小型ジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」を開発中の三菱航空機(愛知県豊山町)と親会社の三菱重工業は10日、県営名古屋空港(同)でMRJの初飛行を11日午前中に実施すると発表した。成功すれば、1960年代に開発された戦後初の国産プロペラ旅客機「YS11」以来、約50年ぶりの国産機プロジェクトは大きく前進する。
MRJには正副操縦士らが乗り込み、初飛行は約1時間を予定。当日の風向きにより、日本海側に北上するか、遠州灘沖に南下するかの飛行ルートを決める。ただ、天候次第では飛行が午後にずれ込んだり、翌日以降に延期されたりする可能性もある。
初飛行は、運航に必要な型式証明を国土交通省から取得するための最初の飛行試験。三菱航空機などは初飛行に向け機体強度の測定や地上走行試験を繰り返し、今月6日には離陸寸前の時速200キロを超える高速走行試験を実施して最終チェックを終えていた。2008年の開発着手から約7年で、初飛行が実現する。
初飛行後は、日本と米国で2500時間の飛行試験を重ね、17年4~6月に量産初号機を全日本空輸に納入する計画。ただ、当初計画から初飛行を計5回延期したことなどから、受注実績は15年1月に32機を契約した日本航空を最後に、計407機でストップ。初飛行を機に、世界での受注活動を一段と活発化させる方針だ。
11日は、大勢の航空ファンが初飛行を見学しようと空港周辺に集まることが予想される。このため、愛知県は空港施設への出入りを規制し、航空便利用者が混乱に巻き込まれる事態を未然に防ぐ。三菱航空機は、MRJの離着陸を生中継するサイトを設け、インターネットでの見学を呼び掛けている。