「辞書閉ぢて音の重さや秋灯火」(水本みつ子)…


 「辞書閉ぢて音の重さや秋灯火」(水本みつ子)。読書の秋である。今月の27日から始まる読書週間にはまだ少し早いが、書店に入ると書棚には読みたい本が多く目に付く。新聞では読書面があり、それも参考にしながら本を選ぶのも、読書家にとっては充実した時間である。

 電子書籍の登場で、読書の仕方も多様化している。が、やはり直接、書店で手に取ってあれこれ検討する方が、本を買う時の喜びが大きいことは間違いない。

 気流子が読書を好きになったきっかけは、学校の図書室にあった『ファーブル昆虫記』選集を読んだことだった。本に描かれた虫の生態があまりにも面白くて次々に借りて読みふけった。同時に昆虫の採集や観察もするようになった。その時の本は子供向けで、カラー写真でビジュアルな構成だったことを覚えている。

 特に、クモやイモムシなどを捕獲してタマゴを生み付けるハチを扱った巻が面白かった。実際にクモを狩る場面を見たり、土の中に埋められたイモムシを掘り当てたりしたこともある。

 後に『昆虫記』が長大な作品であり、岩波文庫に収録されていることを知ってチャレンジしたが、読みこなすのが大変で途中で挫折。昆虫採集の趣味も自然消滅してしまった。しかし読書の習慣だけは持続し、現在に至っている。

 1915年のきょうは、そのファーブルが亡くなった日。今年でちょうど没後100年になる。