「十月と思ひこみゐて不義理せし」(星野立子)…
「十月と思ひこみゐて不義理せし」(星野立子)。秋本番の10月を迎えた。桜の葉も少し色付き、やわらかな秋の日差しが落ちている。
稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』では「暦の上では晩秋にはいるが、実際には、もっとも秋らしい月である。空はどこまでも青く、野山は紅葉に彩られ、草木はみのり、大気はひえびえと澄む。郊外の散策には最適の月」とある。
確かに散策にもいいかもしれないが、澄んだ空の下、公園のベンチなどで、ゆったりとした気分で読書するのにもいい季節である。普段読書するのは、静かな室内や通勤・通学の電車の中、落ち着いたカフェなどが多いだろう。
いつもと少し違ったスタイルで読書を楽しめるのがこの季節でもある。屋外で本を読めば、インスピレーションを与えられることもあるかもしれない。
最近、本好きの知人から、古本の値段が安くなり、手に入れやすくなったという話をよく聞く。気流子も、発刊から間もない本や貴重な古書が手頃な価格なので、驚くことが多い。それだけ本を読む人が少なくなってきたのだろうか。
きょうは「古書の日」。全国古書籍商組合連合会(全古書連)が平成15年に制定した。「古」の字を「十」と「口」に分解し、それをまた組み合わせて「田」として、それを4冊の本に見立てたのだという。ちょっと分かりにくいが、古書を愛する人のユーモアが感じられて悪くない。