埼玉県の城下町、川越市の蔵造りの町並みを…
埼玉県の城下町、川越市の蔵造りの町並みを舞台に先日、第9回「川越唐人揃い」が行われた。「唐人揃い」というのは、江戸時代の氷川祭礼に登場した、朝鮮通信使の仮装行列のことだ。
パレードの名前は「多文化共生・国際交流パレード」。先頭を行くのは朝鮮通信使たちだが、参加団体は多彩で、タイなど世界各地の民族衣装が登場して、ここでも国際化が進んでいることを実感させた。
川越に朝鮮通信使が来たことはないが、川越本町の大商人、榎本弥左衛門(1626~86)が、明暦元(1655)年10月、江戸で朝鮮通信使行列を見物し、規模の大きさと華やかさに驚いたという。
その見聞を「万の覚」に記録。それをもとに元禄11(1698)年の氷川祭礼から「唐人揃い」が登場するようになった。文政9(1826)年に制作された「川越氷川祭礼絵巻」には、その様子が描かれている。
幕末まで人気パレードとして続いていたが、明治に入ると中断。復活したのは日韓友情年の2005年だった。今では埼玉県にも世界中の人々が集まってきている。アジアや南米の人々も多い。
復活させるに当たって、現代的な意味を盛り込んだ。「異なる文化を持つ隣人と一緒に、その違いを認めて楽しむ心」だ。京都大学名誉教授の上田正昭さんは応援メッセージを寄せた。「互いに欺かず争わず、誠信の交わりを実践されるよう期待します」と。