エリザベス英女王、在位最長記録を更新へ
即位63年、ビクトリア女王に在位期間で並ぶ
エリザベス英女王は9月9日、63年7カ月在位した高祖母(祖父母の祖母)ビクトリア女王に在位期間で並ぶ。英国王の最長記録を更新する。エリザベス女王は現在89歳。英君主として既に2007年、史上最高齢になっている。
父の国王ジョージ6世が死去した1952年2月6日、エリザベス女王は25歳で王位を継承した。70年のオーストラリア・ニュージーランド歴訪の際には、英国王としては初めて、通りで市民と言葉を交わし世界を驚かせた。大衆とは一線を引く「君主」という従来の立場を、少しずつ変えて「王室の近代化」を進めた。
ただ、ダイアナ元妃との別居を発表したチャールズ皇太子をはじめ、子供らの結婚生活が破綻していった92年を「ひどい年だった」と総括したこともある。97年にダイアナ元妃が交通事故死した際には、バッキンガム宮殿が半旗にならず批判を浴びた。
それでも、他の王室メンバーにスキャンダルが続く中、ひたすら日々の職務に打ち込んできた。その姿に英国民の評価は総じて高い。エリザベス女王は即位前の21歳の誕生日、スピーチで「長かろうが短かろうが、生涯を国民にささげる」と宣言したが、言葉通りの人生を歩んできた。孫のウィリアム王子も「奉仕の人生の手本だ」と称賛している。
一方、ビクトリア女王は1837年6月20日に即位。産業革命後の経済発展を基礎に、インドやアジア、アフリカなど世界各地を植民地化して栄華を極め「大英帝国の黄金期を象徴する女王」として知られる。
激動する19世紀の欧州で63年以上にわたり英国を統治し、その治世は「ビクトリア時代」と呼ばれる。在位半ばは日本の江戸幕府崩壊や明治維新と重なり、開国後の日本人留学生には当時の英国は「近代化のお手本」と映った。今日に至るまで日本にも強い影響を与えている。英国留学中の文豪、夏目漱石はロンドンで、ビクトリア女王の葬列に遭遇している。(時事)