もう30年も前のことだが、ある事件に関連し…


 もう30年も前のことだが、ある事件に関連し横浜・関内の盛り場を取材したことがある。その時、赤提灯の露地で小学生ぐらいの子供たちとよく出くわしたのには驚いた。

 夜、子供たちが平気で親と一緒に飲み屋へ入っていく。親たちが一杯飲むその傍で、子供たちが寿司を食べたり漫画を読んだり、何か用を足しに外に出てまた帰ってきたりする。

 筆者が小学生だった約半世紀前は、親や大人を畏れ、夜に親が外で何をしているのか考えたり、そこに出かけたりするのは恐れ多いことだった。やがてそんなけじめが取っ払われ、親子関係の在り方が変わり“友達親子”が広がっていったように思われる。

 案の定というべきか、日米中韓の高校生を対象にした国立青少年教育振興機構の調査で「親を尊敬しているか」という質問に日本の高校生が「とてもそう思う」と回答した割合は37・1%と4カ国中最少。米国(70・9%)や中国(59・7%)よりかなり低いことが分かった。

 また「親の期待にプレッシャーを感じる」とした割合も29・5%で、他国より22~34ポイント低かった。高齢の親の世話をどうするか尋ねたところ、「自分でしたい」は37・9%で中国(87・7%)の半分以下。米韓より10ポイント以上低かった。

 逆に「経済支援をして他人に頼む」「分からない」が4カ国中最多だった。総じて日本の親子関係は希薄と言える。この体たらくは一日にしてなったのではないことは確かだ。