自衛隊の前身「警察予備隊」が設置されたのは…


 自衛隊の前身「警察予備隊」が設置されたのは65年前のきょう(1950年8月10日)。直接のきっかけは同年6月25日に勃発した韓国動乱だった。

 日本に駐留していた4個師団の米軍が韓半島での戦いに動員され、力の空白を埋めるために、マッカーサー連合国軍最高司令官が指令。早速、隊員7万5000人の募集が始められ組織化された。

 予備隊は52年に保安隊、54年に自衛隊となった。当初、米国は陸上自衛隊を30万人規模とするよう要求したとされる。韓国動乱の影響と、共産勢力の脅威に対し相当敏感だったことの表れだろう。

 冷戦時代、自衛隊は国土の防衛を行うことで間接的に西側陣営の防壁となっていたが、冷戦が終了し91年、ペルシャ湾での掃海作業に当たるために海上自衛隊の掃海艇が派遣された。自衛隊の国際貢献元年である。

 しかし90年代半ばには、北朝鮮の核疑惑問題や台湾海峡危機が相次いで起き、極東有事が懸念された。政府は97年「新ガイドライン(日米防衛協力のための指針)」を設け、99年には「周辺事態法」を成立させた。

 この間、日本の国力の増大、海外情勢の変化によって、自衛隊の位置と役割は確かに変化した。指導者、政治家の力もあるが、教育の行き届いた国民の英知によって受容、維持されたことは特筆すべきだろう。「日本社会の変容が、自衛隊評価を大きく変えた」(増田弘著『自衛隊の誕生』中公新書)のである。