東京・調布飛行場を離陸した直後の小型…
東京・調布飛行場を離陸した直後の小型プロペラ機が、近くの住宅街に墜落し、巻き添えになった住民1人と機長、同乗者の計3人が死亡した。
異常なエンジン音がずっと聞こえたというからエンジンの不具合の原因究明が必要だ。また機体の総重量が離陸できる上限ぎりぎりだったという報道もあり、事故の人的要因も見逃せない。
機体の整備に問題はなかったか。機長自ら機体点検を行い、直前のテスト飛行でのチェックは十分だったか。また調布飛行場では「遊覧飛行」は禁止され、搭乗者は乗員予備軍であることが条件だが、そうではなく機長の知人らだった。
そのため機長は直前まで雑事に追われ、通常のフライト手順がおざなりになったということはなかったか。昨日付の小紙社会面記事によると、死亡した機長が経営するパイロット養成会社は、国土交通省の事業許可を受けていなかった。
同社はホームページで「思い描くパイロット像に合わせたさまざまなコースを用意している」と宣伝していた。しかし許可がないことから、クラブの会費名目で料金を徴収していたとみられる。経営の実態調査が急がれる。
バブル経済崩壊後、企業が自社の小型機を手放し、パイロットのなり手も減った。養成会社は生徒集めが大変で、教育内容も促成栽培的な技術指導の所が少なくないという。事故の背景には、こうした世相も見え隠れする。