英バーミンガム大学は、イスラム教の聖典…
英バーミンガム大学は、イスラム教の聖典コーランの世界最古の断片とみられる古文書が見つかったと発表した。1920年代に中東で収集され、同大学図書館に長年保存されていたのを、放射線炭素年代測定により、95%以上の確率で645年以前の作成と判定されたという。
これが本当であれば大変な発見である。しかしそう簡単に、すべての学者を納得させるのは難しいのではないか。炭素年代測定を根拠にしているが、古い羊皮紙にコーランの言葉を後で記した可能性も排除できない。
日本でも紀元前300年頃とされていた弥生時代の始まりを、国立歴史民俗博物館は土器付着物の炭素年代測定によって、紀元前900年頃とする説を発表した。弥生年代論争は、まだ決着していない。
今のところ、最古のコーランとされているのは、第3代カリフのオスマンにより製作されたオスマン写本で、トルコのトプカプ宮殿とウズベキスタンのコーラン博物館にある。
今年4月にコーラン博物館で実物を見た。羊皮紙にクーフィー体という古いアラビア文字で記され、立派なガラスケースの中に収められていた。
このコーランは、14世紀にティムール朝の始祖ティムールがダマスカスに遠征した時、戦利品として持ち帰ったものという。開かれたページには、血の痕のようなシミが付いていた。これは、オスマンが殺害された時のものというが、科学的根拠が乏しいと疑う学者もいる。