日本が議長国を務める来年の主要国首脳会議…


 日本が議長国を務める来年の主要国首脳会議(サミット)の開催地が、三重県志摩市に決まった。八つの自治体が名乗りを上げ、志摩と長野県軽井沢に絞られつつあるとか、本命は仙台、対抗・広島などといった下馬評も出ていた。

 選定のポイントは、警備、交通の便、メッセージ性などだが、テロ対策は最優先せざるを得ない。志摩市の最大の長所は、会場候補のホテルが立地する賢島が英虞湾に浮かぶ景勝地で、海に囲まれていて警備がしやすいこと。伊勢神宮を訪れる要人警護などで地元警察も警備に慣れている。

 仙台有力と見た人は東日本大震災からの復興、また広島は核廃絶と、政治的メッセージ性に注目したのだろう。しかし、やや押しつけがましくなる危険もある。広島は特にそうだ。

 では、志摩の方はどんなメッセージ性があるだろう。何より、日本には美しい海と自然があることをアピールできる。

 リアス式の英虞湾は、世界に通用する景勝地であるとともに、“真珠王”御木本幸吉の真珠養殖でも知られる。真珠養殖を一大産業に築き上げた明治・大正版の地方創生である。

 そして近くには、伊勢神宮がある。ドイツの建築家ブルーノ・タウトが「最大の単純のなかに、最大の芸術がある」と絶賛した社である。G7の首脳や海外のジャーナリストたちが神宮の森を訪れることができれば、日本文化の神髄に触れるまたとない機会になるだろう。