日本郵便、物流大手へ船出


豪トールの融合を急ぐ

日本郵便、物流大手へ船出

オーストラリア物流大手トール・ホールディングスの配送センターを視察する日本郵便の高橋亨社長(右)=29日、豪メルボルン近郊(時事)

 日本郵便によるオーストラリア物流大手トール・ホールディングス買収が28日、完了した。国際物流大手への脱皮を目指し、世界的な物流拠点網を持つトールの融合を急ぐ.

日本郵便の高橋亨社長は29日、豪南東部メルボルン近郊にあるトールの配送センターを訪問。記者団に対し、「トールは子会社になったが、国際物流では先達。互いの強さを生かし、国際物流大手と肩を並べる企業グループを目指す」と強調した。幹部に加え約10人の若手も送り込み、トールのノウハウ吸収を進める考えだ.

日本郵政グループ傘下の日本郵便は、電子メール普及で国内郵便事業が低迷。活路として期待したのが、企業向け国際物流事業だ。64億8600万豪ドル(約6200億円)を投じたトール買収で、日本郵便は国際郵便・物流市場で8位から5位に浮上した.

ただ、国際経験に乏しい日本郵便がトールを活用し、相乗効果を生み出せるかは未知数だ。また、首位のドイツポストDHLとは売上高で3倍近い開きがあり、体力差はまだ大きい。高橋社長は一段の買収攻勢について「現時点では計画はないが、必要なら将来あり得る」と含みを持たせた。(メルボルン時事)