「女と寝るように男と寝る者は、ふたりとも…
「女と寝るように男と寝る者は、ふたりとも憎むべき事をしたので、必ず殺されなければならない。その血は彼らに帰するであろう」(レビ記20章13節)。旧約聖書は同性愛を厳しく戒めていた。
「伝統的な結婚の定義を守れ」(小紙4月27日付)によると、米国では連邦最高裁で同性結婚の是非を問う裁判が行われており、全50州で同性婚が合法化されるか否か、判決の下される6月を前に注目を集めている。
この出来事の背景には、キリスト教文化圏での伝統的価値観の崩壊があり、聖書は聖典の位置を失ってしまっている。キリスト教の歴史は教派分裂の歴史で、具体的には聖書解釈の問題だった。
そこから無神論思想まで生まれ、20世紀にはそれが多くの国々を支配した。神学の分野でもルドルフ・ブルトマンはじめ著名な学者たちは聖書を歴史文書にすぎないものと結論付けている。
ところで内村鑑三は生涯聖書を読み続けた人だが、「解し易き書となった」のは、再臨運動を体験することによってだった。その観点なしに聖書は意味をなさないという。そこで晩年、再び聖書に取り組み始める。
再臨運動を軸に『内村鑑三』を書いたのは文芸評論家の富岡幸一郎さん。内村の神秘家としての側面にも着目した。内村によれば聖書が貴重なのは経典だからではない。神の御業の記録だからだ。聖書は内村の言うように神の立場から再解釈される必要がある。