高知大学などの研究グループが、三重県で…


 高知大学などの研究グループが、三重県で約2000年前の巨大津波の痕跡を発見した。改めて地震・津波列島であると思わされる。

 しかし東日本大震災前、人々は建物倒壊を主とした地震被害に目がいきやすく、津波への警戒心が相対的に低かったことは否めない。それが震災を機に顧みられ、各自治体は避難タワーの建設や避難訓練の実施など、ハード・ソフト両面での対応を急ピッチで進めている。

 その中でも、いざという時に住民が逃げられるよう、高速道路や幹線道路の盛り土部分に避難階段を設置する取り組みが広がっていて注目される。国土交通省の調査では、3月末時点、全国で161カ所に上る。

 ふだん階段の入り口は施錠され、マンションなどのベランダで隣と仕切る板が設置されている。緊急時にはそれを突き破って階段を上り、開放された道路上を避難所とするという段取りだ。

 同震災で津波が押し寄せた際、高速の仙台東部道路の盛り土に駆け上がって住民約230人が難を逃れたことで知られ、全国で設置の機運が高まった。こうした避難階段は震災前は数カ所しかなかった。

 このアイデアが素晴らしいのは、既存のインフラを活用している点で、費用対効果も大きく、多くの人の利用が可能だ。防災策の最優先課題は、被害をなるだけ軽くする「減災」であるということが人々や当局のうちに浸透してきている、その証しでもある。