元ラグビー日本代表監督の平尾誠二さんが…


 元ラグビー日本代表監督の平尾誠二さんが将棋棋士の羽生善治さんとの対談で、スポーツ選手の「集中力」について日本人と外国人の違いを話している(『簡単に、単純に考える』PHP研究所)。

 外国人は「自分のために、倒される前に倒してやる」と「闘争本能」を前面に出すことで集中力を高めていく。それに対し日本人は「チームのために今ここで自分が頑張らないといけない、というようなところからじわじわ出て」きていると。いわゆるフォア・ザ・チームだ。

 大リーグ・レッドソックスのクローザーとして今期、大活躍した上原浩治投手が「自分は投げろと言われたところで投げるだけ」と語ったそうだ。チームのために……という意気込みが伝わってくる。

 実際、上原投手がピンチを切り抜けてダッグアウトに身を躍らせるように戻ってくると、チームメートの誰彼となく激しくハイファイブ(ハイタッチ)する。勝利の喜びを分かち合う独特のパフォーマンスだ。

 これには当初、ひげ面の猛者がそろうレッドソックスのプレーヤーたちも戸惑いを見せていた。ところがついには勝利後のお馴染みの光景となり、ファンからも共感する声が多くなった。

 米紙USAトゥデー電子版は「もし上原とハイファイブしたくなくても、気にしなくていい。いずれにしろハイファイブする羽目になるから」と。世界一の立役者となった上原投手への心憎い賛辞だ。