危機管理の要諦の一つは、自己責任の原則の…
危機管理の要諦の一つは、自己責任の原則の自覚だと言われる。国家の安全保障についてもその自覚の下、抜かりない準備と日ごろのチームワークづくりが欠かせない。
今月末の防衛協力の指針(ガイドライン)再改定に当たって、カーター米国防長官と初会談した中谷元防衛相。「宇宙・サイバー空間の安定的利用に対するリスクが日米共通の安全保障上の課題となっている」と語り、事務当局に宇宙に関する防衛当局間の新たな作業部会の設置を検討するよう指示した。
最近、中国は衛星をミサイルで破壊する実験を行うなど、宇宙空間を我が物顔で軍事利用している。2007年には無数の宇宙ごみ(デブリ)をまき散らしたのも記憶に新しい。
宇宙・サイバー戦の多様・拡大化は軍事専門家らの当初の予想を超えるスピードで進みつつある。これを受け、各国の軍事戦略も大きく変化している。米国は宇宙やサイバー空間を陸海空と並ぶ戦場と位置付けている。
今後も宇宙管理の責任の所在が不明確なままであれば、緊急場面で対処が遅れ、危険を高めることになりかねない。その新たな脅威に対応するため、活動の監視や情報収集面で日米間の協力を進めることが、新しい時代のわが国防衛力の質的向上につながる。
中国の台頭などで、日本を取り巻く安保環境は悪化している。時代の変わり目をはっきり見抜き、実際の手を打つことが重要だ。