サラ・ブライトマンさん、9月にISSへ
英国の世界的なソプラノ歌手「美しい地球、人類へ歌声を」、宇宙日本食に興味
9月にロシア宇宙船ソユーズで10日間の宇宙旅行を計画する英国の世界的なソプラノ歌手サラ・ブライトマンさん(54)が、モスクワで時事通信の単独インタビューに応じ、宇宙への思いを語った。歌手として史上初めて国際宇宙ステーション(ISS)から地球に歌声を届ける予定で、「地球のオーケストラやコーラスとの共演が楽しみ。きっと美しいはず」と目を輝かせた。
本格的な訓練は、年明けにモスクワ郊外のガガーリン宇宙飛行士訓練センターで始まった。「予断は持たず、待ち受ける困難を意識した」とブライトマンさん。「訓練を満喫し、一生懸命取り組んでいる。休暇を過ごしに来たのではないから」と気を引き締める。ISSで必須のロシア語は、1日4時間の猛勉強中だ。
9月の宇宙旅行は、油井亀美也さんが5月から約半年間ISSに滞在する期間と重なる。何度も来日公演しているブライトマンさんは、大の日本びいき。日本の宇宙飛行士は「宇宙日本食」を持参することで知られるが、試食する機会があれば「もちろん食べてみたい。おいしいに違いない」と興味を示した。大好物はとろろで、来日時に食べると時差ぼけが治るという。
訓練と並行し、地球に届ける新曲も準備中だ。だが、異なる環境で歌うのは容易でない。「かつて宇宙で歌ったという飛行士の話では、粘膜の働きが違って風邪を引いたような感じになり、難しいらしい」というが、それでも「挑戦してみる」と笑顔を見せた。
宇宙から何を思って歌うのか。ブライトマンさんは「自分の歌に前向きなメッセージを込めている」と語る。「宇宙から美しい地球を見下ろせば、私たち人類がどんなに大切な存在か分かると思う。だって、美しい場所に住んでいるのだから」。体験をそのまま表現として地球に伝えたい考えだ。
「人類の未来に極めて楽観的」と言い切るブライトマンさんは、宇宙は飛行士だけの特権ではなくなり「宇宙旅行は大きな意味を持つようになる」と話す。歌姫の挑戦に全世界が注目する中で「私の特別な国、日本からの声にも応えたい。日本の皆さんは私の体験を共有し、楽しんでくれるはず」と期待している。(モスクワ時事)