前へ前へ迷いなし、逸ノ城が気迫の金星
大相撲春場所3日目、押し倒されて日馬富士敗れる
支度部屋で腰を下ろすなり、逸ノ城が人懐っこい笑みを浮かべた。初金星は鶴竜への注文相撲だった。しかし今回は日馬富士に真っ向挑んだ結果で「全然違う。うれしい」。心から喜べた。
右喉輪で起こされたが慌てない。「引く考えはなかった。前に出よう」。たまらず引いた相手に対し、攻め手を緩めなかった。突いて崩し、最後は202キロの全体重を乗せ、もろ手で押した。136キロの横綱はたまらず尻もち。迷いのない攻めだった。
初場所で初土俵以来、初めて負け越した。ここ2場所は、左上手を安易に求めるあまり、立ち合いの鋭さを欠き、関脇から平幕に転落。この日朝、悩む弟子の心を推し量ったように、師匠の湊親方(元幕内湊富士)は「気持ちで負けてるよ」と一言。逸ノ城はこれで目が覚め「気合を入れていった」。
土俵下の井筒審判長(元関脇逆鉾)は「小細工せずに体を動かした相撲。どんどん前に出たのが勝因」と褒め上げた。「あしたからも前に出て取りたい」と逸ノ城。恵まれた体を生かす本来の感覚を取り戻し、4日目は白鵬に挑む。