特殊な光で絵が動く、光の投影技術「変幻灯」


NTTが開発した錯覚利用の新技術

特殊な光で絵が動く、光の投影技術「変幻灯」

静止画を動いているように見せるNTTの新たな光の投影技術「変幻灯」により、にやりと笑うドイツの音楽家バッハの肖像画(写真右)。同左は当てる前の肖像画(NTT提供)

 NTTは15日、静止画を動いているように見せる新たな光の投影技術「変幻灯」を開発したことを明らかにした。電子看板などで早期に実用化したい考えだ。19、20の両日、東京都内の同社研究施設で一般公開する。

 静止画は色と形の2要素で構成されている。そこへ新たに開発した特殊な光を当てると、色と形を「動き」と結び付けようとする錯覚が脳内で起き、まるで静止画が動いているように見えるという。

 特殊な光は、カメラで撮影した絵画や写真をコンピューターで解析して作成し、明暗を付けた白い光をプロジェクターから当てる。例えば、いかめしいドイツの音楽家バッハの肖像画は照らしただけで、にやりとした笑い顔になる。

 また絵画には何も加工していないのに、この光を当てるだけで、風を吹かせたり、川の流れを表現したりすることもできる。

 NTTは変幻灯について、電子看板のほかインテリアに利用できるとみている。さらに「絵本の登場人物を動かして子供たちを驚かせたり、歴史的な名画を新たな芸術作品に変えたりできる」(コミュニケーション科学基礎研究所)と説明している。