キューバで旧式アメ車が消える?
制裁の象徴、市場に変化も
米国との関係改善を模索するキューバで、外国人観光客を喜ばせる1950年代製の米国車の先行きに注目が集まっている。製造から50年以上を経ても現役で走る旧式の車は、新車の輸入が困難な経済封鎖の象徴。米国と国交正常化し壊れにくい車が大量に輸入されるようになれば、「頻繁に修理が必要な古い車は姿を消すかもしれない」との声が聞かれる。
キューバでは約65万台の自動車が走り、うち約6万台が米国との国交断絶前に製造された車とされる。この時代の米国車は、ボンネットが長い特徴的なデザインで、キューバでは旧ソ連製の小型車ともに一般的。観光客の移動手段としても人気がある。
ただ、ほとんどは内装の塗装がはげ、速度計が動かない。部品調達は難しく、故障すれば部品を自作し修理する。エンジンを中古の日本製や韓国製に積み替える車も多く、タクシー運転手は「いまもオリジナルなのはデザインだけ」と笑う。
ハバナ郊外で祖父の代からの自動車工場を営むレイさん(39)は、数年前から米国車の修理を受け付けていない。政府の経済改革で、修理部品を入手しやすい韓国製中古車などの輸入が少しずつ始まったからだ。部品の自作が必要な米国車の修理は「手間と時間がかかるだけでもうからない」と語る。(ハバナ時事)