外食チェーン、値上げでジレンマ
コスト増と客足に懸念
牛丼大手の吉野家が17日、牛丼を値上げした。今年2回目の価格引き上げは米国産牛肉の高騰と円安が原因で、他の外食チェーンにも重くのしかかる問題だ。価格を維持すればコスト増で減益は避けられないが、値上げした場合も、客が離れて業績の悪化を招きかねない。各社はジレンマに頭を悩ませている。
吉野家の河村泰貴社長は9日、値上げを発表した際、「現在の(牛肉の)相場による利益の減少は年100億円程度」と明らかにした。牛丼に使う米産牛肉の市況は前年の2倍に急上昇しており、「品質とサービスを維持するには値上げが必要」と理解を求めた。
とはいえ、消費者は依然として価格に敏感だ。外食大手すかいらーくの谷真社長は「主力商品を値上げすると客数に響く」と指摘する。居酒屋のワタミは、今春に料理の単価を引き上げた結果、6月の来店客が前年同月比12・5%減と大きく落ち込んだ。
並盛り380円の「プレミアム牛めし」を7月に発売した松屋フーズも、既存店の客数の減少幅が徐々に拡大し、11月は6・8%減。ただ、290円の「牛めし」の販売を続ける店に限れば「前年並みか微増」(経営企画部)という。
モスフードサービスの桜田厚社長は「乱暴に価格転嫁すれば、間違った方向に進んでいく」と語り、値上げが良い結果につながるとは限らないと強調する。牛肉を多く使うのはハンバーガーチェーンも同じだが、同社は経費削減を徹底し、値上げを極力回避する考えだ。