地球の海、小惑星の水から?
欧州探査機ロゼッタの彗星観測で
欧州宇宙機関(ESA)の探査機ロゼッタが今年8月にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(すいせい)に接近した際、周囲に放出された水蒸気を分析した結果が12日までに米科学誌サイエンス電子版に発表された。地球の海のもととなった大量の水は、約46億年前に太陽系が誕生した後、原始の地球に衝突した彗星ではなく、小惑星からもたらされた可能性が高まったという。
彗星は海王星の外側に密集する小天体群「エッジワース・カイパーベルト」で形成され、木星の重力の影響で短周期の公転軌道を回るようになった木星族と、天王星や海王星付近で形成された後、カイパーベルトよりもっと遠い「オールトの雲」まで移動した長周期の彗星などがある。一方、小惑星は火星と木星の間に密集している。
水は水素と酸素から成るが、通常の水素に中性子が付いた重水素がわずかに含まれており、その割合が形成された場所を探る手掛かりになる。木星族のチュリュモフ彗星から放出された水に含まれる重水素の割合は、地球の海より3倍以上多かった。
これまで測定された11個の彗星でも、重水素の割合が海とほぼ一致するのは1個だけだった。小惑星は大体一致しており、彗星より含む水は少ないが、原始の地球に多数衝突して海の形成につながった可能性が高いという。