経済同友会の次期代表幹事に内定した三菱…


 経済同友会の次期代表幹事に内定した三菱ケミカルホールディングス(HD)社長の小林喜光氏は記者会見で「企業人が、単にもうければいいという時代は終わった」などと述べた。

 また財界活動でも常に「社会への貢献」を重視する意向も表明した。ともに力強い言葉だが、キーワードの「社会貢献」は既にわが国では少なくない企業トップが、経営指針としており、特に目新しいものではないとも言える。

 わが国には儲け一辺倒でなく「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」という考え方があり、100年以上続く企業が2万6000社に上る。その数は世界一で、2、3位のドイツ、英国はともに2000社程度だ。

 と言っても今、世界の荒波の中で個々の企業がその伝統を守り抜くことは決して容易なことではない。数々の企業を束ね、互いに協力し目的を遂げるためのリーダーの存在は不可欠だ。

 今、大量消費時代の終焉(しゅうえん)が告げられ、資源の枯渇や地球環境汚染への対処が待ったなしだ。特に小林氏の出身である化学業界の先端技術による新しい素材、燃料開発が期待される。日本は技術の平準化で貧困をなくす推進役でもある。

 一方、難しいのは、自動車部品大手のタカタのエアバッグ問題に見られる、数カ国にまたがりかねないトラブル。今回、米議会公聴会が開かれ訴訟の動きもある。現地で経営を任せることができる人材の育成は大きな課題だ。