彗星着陸の欧州探査機、最初2日半の観測完了


バッテリー切れで一時休眠状態、太陽電池充電で再開目指す

彗星着陸の欧州探査機、最初2日半の観測完了

欧州宇宙機関(ESA)の小型探査機フィラエは彗星(すいせい)の平地に着陸するはずだった(写真上、想像図)が、実際には崖の陰に着陸し、太陽電池での充電が不十分となった(写真下、機体搭載カメラで撮影した周囲の地面のパノラマ合成。中心の機体はイラスト)(ESAなど提供)

 欧州宇宙機関(ESA)は15日、火星と木星の間にあるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(すいせい)に着陸した小型探査機フィラエが最初の2日半の間に計画した観測調査とデータ送信を完了し、バッテリー切れのため一時的に休眠状態に入ったと発表した。周囲の地形や浅い地下の物質分析結果などのデータは今後詳細に調べる。

 彗星近くにとどまる親機ロゼッタを経由しての通信は、日本時間15日午前9時半すぎに途切れた。しかし、運用チームはフィラエの機体を回転させる指令を送っており、機体に張った太陽電池パネルに太陽光が当たる時間を長くしてバッテリーを充電し、観測再開を目指す。

 フィラエは日本時間13日未明に彗星に着陸。しかし、機体を地面に固定する装置が働かず、大小2回のバウンドを経て同日午前2時半すぎに崖の陰に落ち着いた。予定通り平地に着陸していれば、彗星が1周約12時間で自転するうち約7時間は太陽光が当たって充電できたが、最も太陽光が当たるパネルでも1時間半弱にとどまっている。

 フィラエは着陸から2日半持続する主バッテリーと太陽電池で充電する副バッテリーを搭載。最初の2日半の観測を終えた後は充電しながら観測を最長3カ月続ける計画だった。