西アフリカ3カ国(ギニア、リベリア、…
西アフリカ3カ国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)で集中的に発生したエボラ出血熱。世界保健機関(WHO)は、その3カ国で今年中に最大2万人の感染者が出ると推測している。
猛威を振るう原因の一つは治療や予防の決め手となる抗ウイルス薬、ワクチンなどが開発されていないこと。患者は貧困層が圧倒的に多いことから、欧米の大手製薬会社などがこれまで開発に不熱心だったという。
米国は急遽(きゅうきょ)リベリアに3000人の部隊を送り拡大防止に乗り出し、抗ウイルス薬の開発に努め始めた。しかし未解決のいわゆる「南北問題」が今日的課題として表れた現象だと見れば、付け焼き刃的な処置では収まらない。
国連世界食糧計画(WFP)のカズン事務局長は先日、くだんの3カ国について「薬だけでは病気は治せない。飢えている人にいくら医療処置を施しても不十分で、食料も水も必要だ」と訴えた。
日本政府は、これまでもアフリカ経済に大いに関心を持ち率先して支援してきた。その経験を生かし短期的には食料支援、中長期的には海水の淡水化や排水浄化の技術を利用した街づくりを提案し、企画してはどうか。それらの技術は世界でトップレベルだ。
黄熱病の研究中に自身も罹患(りかん)し、ガーナで亡くなった野口英世博士、ガボンのランバレネで医療・伝道活動を行ったシュバイツァー博士はつとに知られる。偉大な先人から学ぶべき点は多い。