東海道新幹線は10月1日、開業50年を迎える。…
東海道新幹線は10月1日、開業50年を迎える。比類なき正確さを誇るダイヤは「コムトラック」と呼ばれるコンピューターシステムと、経験豊富な指令員に支えられている(小紙21日付)。
指令員経験が長いJR東海輸送課担当課長の加藤芳伸さんは「決められたことを処理するならコンピューターは確かに優秀」としつつ、不測の事態にも判断、対応できる指令員が定時・安全運行には欠かせないと強調している。「結局、機械任せではいけないんです」と。
この間の車内乗客の死亡事故ゼロの背景に、こうした秩序立った運行、従業員の高い安全意識があったことは言うまでもない。今日、乗用車から航空機まで自動装置が幅を利かせ、喧伝される時代だからこそ改めて肝に銘じる必要がある。
一般に「大事故につながるのは連鎖的に事故が発生する場合であり(中略)(その防御に)人の安全管理ネットワークの構築が急務」(『現代の航空輸送』勁草書房)だ。これは大規模施設でも同じだ。
例えば原子力発電に対する厳しい安全審査が続いているが、ハード面が対象と言っていい。もちろん重要だが、人間による安全管理についての言及がほとんどない。
従業員1人ひとりが、萎縮せずにいかに誇りを持って原発施設で働くことができるか。いざという時に安全を確保できるかどうかは、この種のメンタルな要素が左右する。地元の人たちとの相互信頼関係の醸成などが重要だ。