七戸龍、世界柔道選手権で大健闘の銀メダル


決勝でテディ・リネールと対戦、王者にもひるまず

七戸龍、世界柔道選手権で大健闘の銀メダル

男子100キロ超級決勝、リネール(左)を攻める七戸龍=30日、ロシア・チェリャビンスク(時事)

 25歳には最高の財産になった。男子100㌔超級の銀メダル。日本の重量級に一筋の光が差す大健闘だった。

 世界最強リネールとの決勝。七戸は諦めていなかった。指導3を重ねたのは痛かったが、見せ場は残り41秒。場外際で得意の右大内刈り。リネールの巨体が畳に落ちた。有効かと思われたが、リネールは腹から落ちたと判定され、ノーポイント。だが、王者への果敢な攻めに、会場は判定を不満とするブーイングに包まれた。

 準決勝でも技ありでリードされた後、大内刈りで二つ技ありを奪い返した。昨年は準々決勝で敗れ、メダルに手が届かなかった。ベルギー人の母を持ち、日本人離れした体格だが、外国勢にはパワーの差を痛感した。地道に筋力を蓄え、奥襟を引く力が強くなり、自分の形に持ち込めるようになった。

 この一年、これまで以上に柔道に打ち込んだ。結婚した5月には所属する九州電力に願い出て、東京支社へ異動。強豪大学などへの出稽古に励み、日本男子6大会ぶりの銀メダルに結び付いた。

 父は有名な空手家。「お前が空手をしていれば…」と聞かされることもあったという。世界の銀なら、自慢の息子になるだろう。(チェリャビンスク時事)