アジア大会は五輪前哨戦、6年後へ弾みつくか


期待の若手、球技は課題も

アジア大会は五輪前哨戦、6年後へ弾みつくか

バドミントンの国・地域別対抗戦トマス杯で初優勝を果たし、喜ぶ日本選手たち=5月25日、ニューデリー(AFP=時事)

 五輪中間年に実施されるアジア大会は、次の五輪の前哨戦となるが、仁川大会は日本にとって2020年東京五輪に向けた強化の本格的スタートの意味も持つ。日本オリンピック委員会(JOC)の橋本聖子選手強化本部長は「『チームジャパン』で勢いをつけたい」と意気込みを示す。

 6年後に向けた追い風も吹いている。7月の陸上世界ジュニア選手権で日本は金1を含む6個のメダルを獲得。5月に行われたバドミントンの国・地域別対抗戦では男子が初制覇、女子も準優勝を果たした。

 次代を担う若手にとっては貴重な経験を積む場となる。柔道は今年の全日本選手権を初制覇した王子谷剛志(東海大)が出場。卓球女子は中学2年の14歳、平野美宇(エリートアカデミー)が代表入り。16年リオデジャネイロ五輪で採用されるゴルフでは、女子ツアー史上最年少優勝記録を更新した16歳の勝みなみが抜てきされた。

 団体球技は課題が多い。ハンドボールは男女とも長く五輪出場権を得ていない。バスケットボールは国内リーグの整備問題を抱え、東京五輪の開催国枠も現時点では保証されていない。今回のアジア大会がリオデジャネイロ五輪の予選を兼ねるホッケーは、日本協会のお家騒動が強化に水を差した。JOCの柳谷直哉選手強化部長は「アジアで確実に金メダルを取る力がなければ五輪には出られない」と厳しい現実を認識している。

 アジア大会は日本と中国、韓国を中心に争ってきた。しかし、オイルマネーを背景に中東諸国がアフリカ系選手に国籍を取得させる強化策などを進めており、競技によっては勢力図が変化する可能性もある。