先月17日付のこの欄で紹介した映画「クライマー」…
先月17日付のこの欄で紹介した映画「クライマー」に登場する、オーストリア生まれのクライマー、デビッド・ラマさんが来日し、話を聞く機会があった。小柄できゃしゃな感じがするが、筋肉の盛り上がった腕は太い。
南米パタゴニアにあるセロトーレ3102㍍に初めてフリークライミングで登頂した人物。過去、競技でワールドカップ総合優勝を果たしたが、一方で、ヨーロッパ・アルプスを舞台にロッククライミングを続けてきた。
デビッドさんによると、違いは登るラインにあって、「競技では課題として与えられるが、山では岩の構造を見ながら、自分の想像力を使ってラインを考え、自分が決める。これが違う点です」。
セロトーレを登攀(とうはん)するのは極めて困難。「ヨーロッパ・アルプスのアイガー北壁とは比べものにならないぐらい困難な山です」と語る。1500㍍もの垂直の壁は、自然の脅威にさらされ、凍りついていることも多いという。
映画は2009年から12年に及ぶ3度の遠征記録で、その3度目で目的を達成する。厳しい天候、肉体的な限界など、困難に直面しながらも、クライマーとして成長してく過程を描いている。
「フリーでできるのかと、自己疑念はありましたが、登るラインが見え、ビジョンを持ち、それを宗教のように信じていたので、ぶれないで、遠征するたびに確固たる自信になっていったのです」。今月30日全国公開。