思い記した灯籠、遺族らが神流川の川面に


日航ジャンボ機墜落事故から、きょうで29年

思い記した灯籠、遺族らが神流川の川面に

日航機墜落事故から29年になるのを前に、遺族らが墜落現場近くの川に灯籠を流し、犠牲者を悼んだ=11日午後、群馬県上野村

 乗客乗員520人が亡くなった1985年の日航ジャンボ機墜落事故から29年を迎える12日を前に、遺族らが11日夕、墜落現場となった群馬県上野村の「御巣鷹の尾根」のふもとを流れる神流川に灯籠を流し、犠牲者の冥福を祈った。

 灯籠流しは20回目。遺族らは墜落時刻の午後6時56分ごろ、それぞれの思いを記した大小約300個の灯籠を川面に浮かべた。

 弟の健さん当時(9)を亡くした東京都大田区の会社員美谷島真さん(42)は1歳2カ月の長女と初めて参加し、「今年は娘を連れて来たよ」と灯籠に。「弟とはお互いに見守り合って生きてきた気がする」と振り返る。

 「事故は忘れたときに起きる。遺族は声を上げ続ける責任がある」と美谷島さん。「次世代に語り継ぐ第一歩として、事故で亡くなったおじちゃんがいると娘に伝えたい」と先を見据えた。

 当時50歳だった母親の藤原美代子さんを亡くした豊島区の主婦森下玲子さんは今年、母親と同じ年齢になった。目標だった母の背中に追い付き、「もう見本はないが、母の分まで生きてあげたい」と静かに力を込めた。灯籠に「命の大切さ、無駄にしないで」と書き、公共交通機関が安全を最優先するよう求めた。