W杯に挑む日本代表を支える「母の味」
西芳照さん、3大会連続で同行する専属シェフ
サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会に挑む日本代表には、食事の面から選手を支える力強い味方がいる。3大会連続でチームに同行する専属シェフの西芳照さん(52)。福島県南相馬市出身で東京電力福島第1原発事故後、復旧に当たる作業員に食事を提供し続けた。「母の味」がモットーの料理人は「今までの経験をすべて出し切る」と意気込む。
西さんは第1原発の南約20キロにあるスポーツ施設「Jヴィレッジ」(同県楢葉町、広野町)のレストランで総料理長を務め、2004年から代表チームの海外遠征に同行。目の前で調理する「ライブクッキング」が選手から好評を得てきた。
ブラジル大会では暑熱対策を課題に挙げ、メニューに工夫を凝らす。ひじきやレバーを積極的に使い、汗で失われる鉄分の補給を図る。選手が好むのは「凝った料理ではなく幼い頃から食べ慣れた食事」と話し、「お母さんの味」を心掛ける。
「代表が好成績を収めれば、みんなが元気になれる。被災地だけでなく日本全体が盛り上がるはず」。優勝セレモニーで選手と同じピッチに立つのが夢という。