国際研究チーム、ヒツジのゲノムを解読


米科学誌サイエンスに発表、毛や肉の改良に期待

国際研究チーム、ヒツジのゲノムを解読

 ヒツジの全遺伝情報(ゲノム)を解読したと、オーストラリア連邦科学産業研究機構や英エディンバラ大などの国際研究チームが6日付の米科学誌サイエンスに発表した。ヒツジは毛のウールのほか、肉のマトンやラム、乳が利用され、多様な品種がある。新たな遺伝子の発見で品質や生産効率を高めたり、病気にかかりにくくしたりする改良が進むと期待される。

 ゲノムの比較により、ヒツジとヤギの祖先は約430万年前に分かれた可能性が高いことも分かった。また、ヒツジとヤギの共通祖先は、ウシの系統と約1990万年前に分かれたと推定された。

 ヒツジの胃はウシと同様に四つあり、消化しにくい草を胃の中の微生物によって発酵分解したり、途中で口に戻して反すうしたりして栄養分を吸収できるようにしている。研究チームは四つの胃のうち最も大きく、発酵分解を行う1番目の胃で働いている遺伝子群を新たに見つけた。

 一方、毛には「ラノリン」と呼ばれる油脂が付着しており、皮膚から毛が生える過程で脂質の代謝を担う重要な遺伝子群も特定された。