円熟の白鵬、V30に王手


大相撲夏場所で横綱白鵬が賜杯奪還

円熟の白鵬、V30に王手

日馬富士(左)を上手投げで下し、2場所ぶり29度目の優勝を果たした白鵬=25日、東京・両国国技館

円熟の白鵬、V30に王手

2場所ぶり29度目の優勝を決め、賜杯を手に笑顔の白鵬(中央)=25日、東京・両国国技館

 白鵬は日馬富士を上手投げで仕留めると、安堵(あんど)の表情を浮かべた。「29歳で29回目の優勝となり、うれしい。おやじの前でいい相撲が取れた」。2年ぶりに来日した父ムンフバトさんが見守る中での賜杯奪還に、しばし余韻に浸った。

 目の前で1差で追う稀勢の里が勝った。「(本割で)負けてもいい。気楽にいこう」。自然体で土俵に上がった。立ち合いでやや左へ動いて狙い通りに上手をがっちり。相手に付け入る隙を与えずにきれいに転がした。

 第一人者として角界をけん引し続けているが、年齢を重ね、得意の右四つに難なく持ち込む取り口は減ってきた。それでも「今場所は自分十分の相撲ばかりでなかったが、形にこだわらず取れた」。

 立ち合いの心理戦を制した稀勢の里戦のように、持ち前の観察眼や、際立つ反応の良さでカバー。円熟の境地を披露している。13年ぶりの3横綱となった今場所も先輩横綱の貫禄を示し、安定感は突出していた。

 優勝回数で30の大台に王手をかけた。「大鵬親方の32回もあるし、稽古に精進して頑張っていきたい」と決意を述べた白鵬。角界の父と慕った大横綱の最多記録がくっきり見え始めた。目指す大目標がまた背中を押す。