旅の目的は「列車に乗ること」
鉄道会社、豪華な内装や特別な座席を観光資源に
「乗ること」を目的とした観光向け車両が各地で人気を集めている。豪華な内装や特別な座席が特長。少子高齢化で通勤・通学需要の伸びが見込みにくい中、鉄道会社は、列車自体を観光資源とすることで収益拡大につなげたい考えだ。
JR九州が2013年10月に運行を始めた豪華列車「ななつ星in九州」の料金は自主企画の3泊4日コースで1人最高125万円と高いが、経済力のある60~70代に支持されている。8~11月出発分の予約申し込みの抽選倍率は平均37倍だった。JR東日本の臨時寝台特急「カシオペア」(上野-札幌)もシニア層を中心に6~7割の乗車率を保つ。
JR西日本の蒸気機関車「やまぐち号」(新山口-津和野)は明治、大正、昭和をイメージした客車が人気だ。現在は13年7月の豪雨災害の影響により、津和野駅で車両の方向を変える転車台が使用できない。同社は今年8月に復旧工事が完了するまで、新山口行きの蒸気機関車が後ろ向きで煙を吐く珍しい姿を見ることができるとアピールしている。
南海電気鉄道は4月26日~6月30日の期間限定で、難波-関西国際空港の特急「ラピート」に、アニメ「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」シリーズにちなんだ真っ赤な外観の「ネオ・ジオンバージョン」を運行。特別座席車両にはガンダムの登場人物の「専用席」を設置した。乗客は自由に座って写真撮影できる。「北海道や関東から関西空港まで飛行機で来てラピートに乗るファンもいる」(南海電鉄)という。