映画「ネイチャー」
3Dによる大自然のスペクタクル
地球には人の想像を超える神秘的な世界がある。日本で紹介されるアフリカの大自然といえば、サバンナ地域が多いが、この映画に登場するのは、熱帯雨林の「謎めいた森」、ニーラゴンゴの火山「燃え盛る地下世界」、世界最古ナミブ砂漠の「異国の砂」、アフリカゾウが水を求めて旅する「灼熱の平原」など、九つの未知なる大自然。最新の技術を駆使して驚くべき迫力で迫ってくる。
製作したのは、世界最高峰のネイチャードキュメンタリー製作チームBBC EARTHで、ハリウッドの画期的な3Dテクノロジーと出会って、大自然のスペクタクルと野生生物のエネルギーを体感させてくれる。
スタートはガボンの濃密な森だが、カメラ視線は梢(こずえ)からまっすぐ降下して大地にたどり着き、観客は空から落ちていくような感覚を味わう。垂直ケーブルによる移動ショットは史上初だそうだ。
この森には霊長類最大のマウンテンゴリラがいる。猛々(たけだけ)しい顔つきから粗暴なモンスターと思われてきたが、実際にはヒトと同様に、あるいはそれ以上の優しい心をもつ穏やかな動物なのだ。
登場する動物はほかにコフラミンゴ、シャベルカナヘビ、アフリカゾウ、アオウミガメ、ゲラダヒヒなどで、その生態が予想外のアングルから捉えられて、命の営みが伝わってくる。砂漠の砂が熱いので、体を守るために片足または二本足を順々に上げ下げするシャベルカナヘビのダンスは滑稽(こっけい)だ。(岳)