モーグルの堀島行真、雪辱の銅メダル
日本勢メダル1号、見直した滑りが結実、最後まで攻め切る
悪夢の転倒から4年。堀島が五輪の舞台で雪辱の銅メダルを獲得した。「最低限、メダルを(目標に)掲げて挑んだので、達成できてよかった」と喜んだ。
3日の予選1回目はミスが出て、決勝進出がお預けに。この日の2回目は絶対に失敗が許されない緊張感の中、堅実に滑って道を切り開いた。6人による決勝3回目は、第1エアのフルツイスト(伸身後方宙返り1回ひねり)の後、乱れたターンを立て直し、第2エアはコークスクリュー1080(軸をずらした3回転)を見事に決めてガッツポーズ。「銅メダルにふさわしくない滑りかもしれないが、最後まで攻め切ることができた」
前回の平昌五輪。決勝2回目の第1エア、こだわり続けた高難度のダブルフルツイスト(伸身後方宙返り2回ひねり)で転倒した。「1位を取るために自分の120%で挑んでいた。余裕がない状況だった」と振り返る。
北京までの4年間、自身の滑りを見直した。スキー板を縦に走らせるカービングターンの技術を磨き、エアは難度よりも完成度を重視。オフには、フィギュアスケートやスノーボードなど他の競技も経験し、モーグルに生かせる体の使い方を習得した。
結果への執着心を捨て、休むことの大切さも覚えた。精神的な余裕が生まれ、城勇太ヘッドコーチは「一皮むけた」と認める。今季のワールドカップ(W杯)では3勝を挙げ、ここまで全9戦で表彰台。平昌金のキングズベリーに「競技人生で最大のライバル」と言わしめるほどに成長した。
24歳の日本の第一人者は「完璧な滑りを目指していれば、キングというところも見えてくる」との理想を抱く。見据えるのは、体操の内村航平さんのような絶対的存在。「目標は金メダル。そこにたどり着くまでやっていきたい」。北京の銅も、まだまだ「キング」への道のりの第一歩だ。(時事)