ドイツ総選挙、メルケル氏引退の影響如実
所属政党が1949年以来の歴史的大敗、選挙区も失う
26日投開票のドイツ連邦議会(下院)選挙で、メルケル首相が所属する中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の得票率は、西ドイツで初めて総選挙が行われた1949年以来最低の24・1%という歴史的大敗を喫した。それでも連立交渉で政権獲得を目指すが、メルケル氏が引退を決め、圧倒的な存在感を選挙戦で活用できなかったことの影響が如実に表れた。
象徴的だったのが、メルケル氏が90年の初当選以来守り続け、今回はCDUの新人候補が出馬した北東部メクレンブルク・フォアポンメルン州の小選挙区の議席を、ライバルの社民党の27歳の新人に奪われたことだ。各種の政治家の人気度調査で、メルケル氏はいまだ圧倒的な1位。政党でなく、個人人気の要素が強かったことがはっきりした形だ。
南ドイツ新聞の政治部長、シュテファン・コルネリウス氏は同紙で、メルケル氏が2018年12月でCDU党首を退いたことで党の「統制を失った」と指摘した。メルケル氏の直後に就任した党首はすぐに支持を失い、今年1月に辞任。代わって就いた現職のラシェット党首も時間不足で党をまとめきれなかった。メルケル氏自身も、引退する身として選挙戦の当初は比較的露出を抑えた。終盤こそラシェット氏と共に登壇するなどてこ入れを図ったが、挽回は難しかった。
今回得票を伸ばし、CDU・CSUに代わり第1党となった社民党も、得票率は約26%にすぎない。社民党、CDU・CSUのどちらが多数派形成に成功し政権を取るにしても、連立相手の他党に配慮せざるを得ず、強い権力を維持してきたメルケル氏に比べると、当面は新首相の立場は弱くなりそうだ。(ベルリン時事)