京都府宇治市を宇治川が流れていて、橋の一つに…
京都府宇治市を宇治川が流れていて、橋の一つに宇治橋がある。ここから上流の山河は平安時代の面影をとどめていて、ここに来ると日本人の美意識の源流を見ているような気持ちになる。川の左岸に平等院がある。
観光客の絶えない名所だ。鳳凰堂は鳥が羽を広げたような形をしていて、優美で軽快。翼廊が2階になっていて、軽快感をつくり出している。周囲が浄土庭園で、池が建物を囲んでいる。
この池は美の不可欠な要素だが、建物や仏像の保存という点ではいい影響を与えなかった。「鳳凰堂は池の中に建つ御堂という宿命から、常に修理を必要としていました」(『平等院物語』)と住職の神居文彰さんが書いている。
その歴史は修復、解体工事、補修の連続。今回、鳳凰堂の屋根にあったという鳳凰像に金箔が施され、1053年の創建時の姿を取り戻した。近く屋根に据えられるという。
これは高さ約1㍍の青銅製のもので、腐食が見つかって1968年頃レプリカに取り換えられた。平等院の発行しているガイドブック「平等院」にも鳳凰の写真が紹介されているが、黒ずんでわずかに緑青も見られる。
2012年9月に始まった調査で、創建当初、金箔が施されていたことが判明したという。平等院には永続へ強い意志がある。時間の経過に伴う風化作用に逆らって、常に当初の姿を維持しようとしてきた。それが浄土信仰の原点だからだ。