新型コロナウイルスワクチンの接種加速に国を…
新型コロナウイルスワクチンの接種加速に国を挙げて取り組んでいる時に、何を考えているのだろう。自衛隊による東京都と大阪府でのワクチンの大規模接種で、毎日新聞と朝日新聞出版の記者が、架空の接種券番号を使って虚偽の予約をし、システムの不具合を記事にした。
防衛省は当然、悪質な行為と抗議した。毎日側は不備を確認した後、すぐにキャンセルし、検証は「公益性」が高いとしているが、模倣犯を教唆するようなものだ。手段を選ばない取材方法は「報道の自由」の本来の価値を貶め、危うくする。
防衛省の抗議に、立憲民主党などが「報道の自由への圧迫」などと追及するに及んでは、勘違いも甚だしい。
自衛隊だからターゲットにされたという疑いはぬぐえない。今まで経験のない大変な任務に立ち向かう自衛隊への感謝が先立つべきだろう。それを国会で追及するとは、何が「支え合う日本」(枝野幸男・立憲代表の新著のタイトル)だと言いたくなる。
そんな折、英BBCが1995年に放送した故ダイアナ妃のインタビューに際し、記者が虚偽の銀行明細を使って取材していたことを認め、BBCのティム・デイビー事務局長は「完全、無条件で謝罪する」と述べた。
虚偽情報を使っての取材という点では似ている。しかし、この反応の違いは何だろう。英国はジェントルマンの国というだけでは済まない、もっと本質的な問題が横たわっているように思われる。