胸には水晶、12センチの木造ミニ涅槃像を発見
大津の「新知恩院」から、鎌倉時代の仏師・快慶作か
大津市の寺院「新知恩院」の土蔵から、小型で胸に水晶がはめ込まれた全国的にも珍しい木造涅槃(ねはん)像が1日までに見つかったと、同市歴史博物館が発表した。同館によると、顔の輪郭や表情などから、鎌倉時代の仏師快慶(生没年不詳)の工房で作られた可能性があるという。
涅槃像は釈迦(しゃか)が入滅する様子を表現したもので、現存する木造涅槃像はほとんどが体長約180センチか約90センチ。しかし、今回発見されたものは12・8センチと極端に小さい。また、胸の部分に縦2・5センチ、横1・5センチの水晶をはめる珍しい技法が用いられており、釈迦の体から光が発せられる様子を表しているとみられる。
鎌倉時代の仏像に詳しい井上一稔同志社大教授(仏教美術史)は「美術史的に大変価値の高い発見だ。位の高い僧侶が持ち歩いていたものではないか」と話している。
この涅槃像は2月8日~3月16日(月曜日を除く)、大津市歴史博物館で公開される。