東京都写真美術館で、山岳写真家、白川義員…


 東京都写真美術館で、山岳写真家、白川義員(よしかず)さんの写真展「永遠の日本」(第1期)が開かれている。続いて4月からは「天地創造」(第2期)が開かれる。見れば誰でも気付くのが赤の多用だ。

 白川作品の基調となる色彩だ。これが自然界のものなのかと疑問に思われるほど、激烈な色彩。だが、自然そのものの色である。山岳写真家になるきっかけは、ヨーロッパアルプスで出会った氷雪の山々。

 白い雪は日の出や日没の時間、真っ赤になったり黄金色になったりして、鮮烈で荘厳な風景だった。日本でも壮麗絢爛(けんらん)な風景を撮れないかと考えて、撮影時間を日の出と日没に限定するようになったという。

 世界の始まりと世界の終わり、といった印象を与える作品群だ。130カ所に及ぶ名山、名瀑(めいばく)、湖沼、森林、高原、湿原、海浜、島嶼(とうしょ)が登場する。全国にわたるが、南アルプスが抜けている。

 地上からも空からも撮影したというが、白川さんのいう鮮烈で、崇高で、永遠なもの、という美意識には当てはまらなかったようだ。一方、好きな山域は知床、大雪山、北アルプスだ。

 撮影には小型飛行機やヘリコプターを使用することが多かった。が、日本では離着陸時間が自由でなく、ヘリの着陸は場所が指定されるため、外国と比べてチャーター料金がセスナ機で3倍、ヘリで4倍かかったそうだ。4年間の日本撮影で使った費用は4億円。大半は航空撮影のためで、経費も前人未到だったのだろう。