夜中、蛍光灯の周りを飛び回る虫がいる。…
夜中、蛍光灯の周りを飛び回る虫がいる。カメムシだった。コガネムシのような甲虫ならば手で取って外に出すのだが、カメムシは悪臭を放つので放っておくしかない。
飛び回る音に、田舎に住んでいた時、さまざまな虫が夜に飛び込んできたことを思い出した。一番多かったのは蛾(が)やコガネムシだったが、チョウやトンボやカブトムシなどの珍客もあった。昆虫たちの競演に「飛んで火に入る夏の虫」ということわざを連想したほど。
明かりに向かって虫が飛び回るのは、夜行性の性質が原因らしい。昼間は天敵の鳥などがいるために夜間に移動することが多く、その際に月明かりを頼りとして飛行するとの説がある。
それが人工の明かりによって狂わされ、火の中に自ら飛び込む行動となっているらしい。昆虫といえば、2013年に国連食糧農業機関(FAO)が世界の食料難を解決するのは昆虫食であるという報告書を出している。
確かに、昆虫は家畜に比べ飼育もしやすい、場所もそれほど取らない。世界では昆虫を食べる民族も少なくない。とはいえ、昆虫食が伝統的にない限り、すぐに対応することは難しいのではないか。
気流子が思い出すのは、イナゴの佃煮(つくだに)。農家の人がザルをいっぱいにして家を訪ねて来たことを覚えている。あめ色のイナゴが最初、気味悪かったが、食べてみると甘辛いしょう油が香ばしかった。農薬などの害がそれほどなかった時代の話である。