熊本県の球磨川が氾濫し、死者19人、心肺…
熊本県の球磨川が氾濫し、死者19人、心肺停止17人、11人が行方不明と大きな被害が出た。消防や自衛隊などの捜索・救出作業が続いているが、山間部を中心に救助が行き届かない地域もある。九州は再び雨が降り始め被害がさらに拡大する恐れもあり、大変憂慮される。
球磨川は同県南部の人吉盆地を貫流し、八代平野に至って八代海に注ぐ1級河川。中流域にある人吉市内では川の流れは割と緩やかだが、なべて流れは速く、最上川や富士川と並ぶ日本三大急流の一つでもある。
記録的な大雨の主因は、組織立った積乱雲群の「線状降水帯」だ。球磨川の長く続く流れを、ちょうど東西に伸びた線状降水帯がすっぽり覆ったことで、上流、下流にかかわらず川全体に注がれる水量が一気に膨れ上がった。そのため、氾濫、浸水地域が広がった。
同様の集中豪雨は最近では全国的にある。平成27年には鬼怒川が決壊して被害を出した。3年前の九州北部豪雨、2年前の西日本豪雨の時もそうだ。線状降水帯は、地球温暖化によって発生しやすくなったと言われる。
球磨川は、自然を船上から楽しむ球磨川下りや、最近であれば豪快でスリリングなラフティングが人気の観光地だ。しかも自然と調和した人々の生活が、人吉の長い歴史・文化を培ってきて、流域の町々に観光スポットが少なくない。
甚大な被害をもたらす自然災害が目に見えて多くなってきた。異常気象への対策が急がれる。