未解決の数学の超難問「ABC予想」を京都…
未解決の数学の超難問「ABC予想」を京都大学教授の望月新一さんが証明したというニュースが流れた。新型コロナウイルスの感染拡大の関連ニュースが続く中、明るい話題で喜ばしい。
「証明できれば数多くの有名な予想や定理が直ちに導き出せる」(本紙)として、長年、世界の天才数学者らが解明を競ってきたこのABC予想。A、B、Cは整数で、その3数の関係(それぞれの素因数の積の特色ある関係)が定式化されている。
式自体は簡単だが、その重要性について門外漢にはまるで分からない。望月教授はその研究に20年をかけ、トップランナーとしてゴールテープを切ったのは間違いないようだ。
よく知られる「直角三角形の辺a2乗+b2乗=c2乗」は、古代ギリシャのピタゴラスが発見した定理。2500年以上も文明の進歩に寄与しているのは、普遍的な真理性ゆえだ。ABC予想の応用力に期待したい。
望月教授は米国で頭角を現したが、「話が通じる相手がいる環境でないと難しい」と、拠点を京大に置いた。日本人で「数学のノーベル賞」と言われるフィールズ賞を最も近く(1990年)に受賞した森重文さんも京大で腕を磨いた。
気流子の知人で、文筆家で京大の数学教授の故森毅さんに習った人が「授業で、自由に考えろ、気にすることはないとよく言われた」と話していた。歴史の遺産が堆積した京都の文化的土壌が知の冒険心を刺激するのだろう。