テレビが煽る新型コロナ、冷静な情報載せ「普通」の生活呼び掛ける新潮

◆検査過多で医療崩壊

 新型コロナウイルスについて、連日の溢(あふ)れ返る報道を見ていれば、対処法も見通しも次第に明らかになっていく、はずだが、故意なのか、理解できないのか、テレビのワイドショーは相変わらず「政府の説明不足」とか「情報発信が足りない」と文句たらたら。これを見る視聴者も、実は新聞やネットで十分な情報を目にしていながら、「情報が足りていない」というテレビの声に誤導され、錯覚から目覚めることがない。一番、センセーショナルに煽(あお)る週刊誌ですら、今では新型コロナについて冷静な情報を載せているというのにだ。

 週刊新潮(3月26日号)が特集「『新型コロナ』との消耗戦」で、新型コロナは恐ろしいウイルスではないことを強調していた。「ジャーナリストの石高健次氏」による「『PCR検査』拡大で日本は韓国の二の舞」の記事で、「免疫学の権威、奥村康氏」が「新型コロナウイルスは、通常の季節性インフルエンザと比較すれば、そんなに恐くないかもしれません。だいたい1週間で抗体ができ、快方に向かう一般的なウイルス疾患のようです」と指摘している。

 なぜ世界中でこれほど新型コロナを恐れているのかといえば、「医学的な『未知』が恐怖の根底にある」と同誌はいう。新型だから情報がないのは当然で、ワクチンもなければ、予防注射ももちろんない。分かっていることは、高齢者で基礎疾患があれば重症化して死に至る人もいる。若者は軽症または無自覚で終わることがある、などわずかだ。

 それを韓国のようにやたらめったらPCR検査をして、結果、医療崩壊をもたらすのは“愚策中の愚策”だ。なのに世界保健機関(WHO)は「検査、検査、検査」という。実際、検査を広げれば、「(医師も受診者も)逆に感染の危機に晒される可能性」があり、「医療機関へ健常者や単なる風邪の人が殺到し、感染者が爆発的に増加」することになる。

 石高氏は「今後の検査で、感染者、重症者が増え、医療リソースが振り向けられ、さらに、医療スタッフ一人が感染すれば、濃厚接触した同僚たち全員が14日間の自宅待機となる」と危険性を指摘する。「結果、コロナ以外の重篤な病気を含め、患者が命を落とす事態」になって「まさに医療崩壊」になるというわけだ。

 これを見れば、クラスター(感染者集団)を抑えようとしている日本政府の方針の方がよほど理にかなっていることは一目瞭然だろう。

◆極度に恐れない英国

 さて、「終息への見立て」であるが、「日本全土に広がってのち終息するしかない」「ウイルスがいきわたり、症状が出ない人、軽症で済む人、重症にまでなる人が出きって、終息に向かうのです」と奥村氏はいい、そして「いつもの当たり前の暮らし方でよい」と念を押す。

 同じような事例がある。英国だ。同特集の中の「恐れない英国」に詳しく紹介してある。ジョンソン首相は「国民に覚悟を求めた」上で、「『集団免疫』の形成を狙っている」と「在英国際ジャーナリストの木村正人氏」は説明する。「抗体保持者が60%を超えたあたりから彼ら自身がバリアとなり、感染を終息させるという考え方」だ。

 死亡率を考えればインフルエンザよりも小さいことは報じられている。英国の対処は「ウイルスを極度に恐れず、極力『普通』に生活しよう」ということだ。日本も腹をくくらなければならないだろう。

◆週刊誌魂見せた文春

 新型コロナよりも、もっと深刻なのはその影響の波及だ。同誌は「大恐慌」に備えよとして、働き方改革がもたらす給与マイナスへの対処や、生命保険料、スマートフォン料金、自家用車保有の見直しをアドバイスしている。さらに株は「今が買い」だと。しかし、これはコロナがなくても普段から見直すべきもので、トップに持ってくるほどの記事だったのか、いささか疑問ではある。

 最後に週刊文春(3月26日号)だが、財務省職員の遺書全文を含む記事12㌻をぶつけているのは、善しあしは別にして“週刊誌魂”を見せている。(岩崎 哲)