慰安婦合意「問題点」指摘か 韓国政府作業部会
「癒し財団」理事また辞意
日韓懸案のいわゆる従軍慰安婦問題をめぐり「最終的、不可逆的解決」を確認した2015年12月の両政府間合意について、合意に至る過程に問題がなかったか検証してきた韓国外交部直属の合意検討作業部会が今月末に予定している結果発表で、生存している元慰安婦たちの了承を経ずに合意したことなどいくつかの内容を「問題点」として指摘する可能性が高いことが分かった。日韓関係筋が15日、本紙に明らかにした。
結果発表は合意2年となる今月28日の前に行われる見通し。作業部会は①元慰安婦の了承を経ず、事前の説明もなかった②朴槿恵前政権の青瓦台(大統領府)が政府内で十分なコンセンサスを得ず独断で進めた③日本との外交決着は個人の請求権を認めた韓国憲法裁判所の判断に基づいていない――などの点を問題視するという。
5月に発足した文在寅政権は合意見直しを主張していたため、作業部会の発表で合意が形骸化する恐れもある。
合意に基づいて日本側が支給した10億円を被害者らに渡す事業などを行ってきた「和解・癒し財団」の一部理事は合意過程を問題視したとみられる作業部会の検討結果を受け、すでに辞任の意向を固めている。同財団は文政権発足などの影響でこれまでに理事10人のうち金兌玄理事長を含め3人が辞任している。
19日に来日予定の康京和・韓国外相は作業部会の発表内容を事前に日本側に説明するものとみられる。
ただ、来年以降に文政権が合意そのものを破棄したり、再交渉を求めてくるかは不透明。日韓関係全体への影響や国際社会の反応、国内世論などを見極めた上で合意に対する立場を決めるとみられる。