ロンドンで韓半島フォーラム開催
南北統一の実現性討議
韓半島統一と北朝鮮人権問題に関するフォーラムがロンドン市内で19日開催され、韓国と英国の識者たちが朴槿恵・韓国大統領の対北政策「信頼構築プロセス」を中心テーマに平和的統一の実現性、北朝鮮の人権改善の可能性などを討議した。
(ロンドン・行天慎二)
北朝鮮の人権問題に焦点
韓国の「信頼構築プロセス」を検証
国際社会の協力が鍵
同フォーラムは、今月初めの朴大統領の英国公式訪問を受けて、韓国民主平和統一諮問会議(NUAC)主催で開催されたもので、英国など欧州連合(EU)側に対して韓半島問題への理解と協力関係を進める目的がある。韓国側からはNUACの代表者、学者や専門家が、英国側からは政府関係者、政治家、学者らがスピーカーやパネリストとして参加した。
基調演説したNUACのパク・チャンボン事務総長は「欧州でドイツが再統一を達成した後、残されたのは韓半島の平和的再統一問題だ。朴大統領は信頼構築プロセスによって再統一を進めようとしている」と語り、信頼構築プロセスのビジョンとその履行、英国など国際社会がいかに協力できるかに言及した。同事務総長はその要点を次のように説明した。
▽韓半島の平和的統一によって国際社会で認められる普通の国になることが目標だが、南北の経済格差があまりにも大きい▽再統一によって韓国は北朝鮮に高度技術を移転する一方、北朝鮮は労働力や天然資源を供給し韓国は中国やロシアなどへ市場拡大することができる。そのためには、北朝鮮が独裁国家から市場経済社会に変わらなければならない▽しかし北朝鮮における核開発と人権弾圧が大きな障害になっている▽これらの問題解決に先立って、平和的統一に向けた相互の信頼構築が先行しなければならない。信頼構築による平和的統一プロセスにのっとって他の問題の解決の糸口も得られる▽ただ、北朝鮮とは1971年以降対話を続けているが合意事項はその都度破られている▽北朝鮮は国際社会で孤立しており、国連安全保障理事会のメンバーである英国など国際社会が協力し北朝鮮をもっとオープンにして信頼関係を積み上げることが必要。北朝鮮が信頼構築の原則に従うようにしなければならない。
続いて、英国側から英国際戦略研究所(IISS)のフィッツパトリック軍縮・核不拡散プログラム部長がプレゼンテーションを行った。同部長は結論として「北朝鮮が存在する限り北朝鮮は核武装して後ろ向きにとどまる。長期的な唯一の解決策は、韓半島の平和的統一を通じて政権が終わり、民主的、自由企業に基づいた国になることだ」と述べた。そして「政権を倒すために他の国々による行動を唱導するのではなく、関係諸国は統一につながる内部の変化を促す政策を追求すべきだ」と語り、人権蹂躙(じゅうりん)の告発など外部から北朝鮮内の人々に真実を知らせる努力が重要だと指摘した。
その後のパネル討議では、第1セッションで信頼構築プロセス履行のための英国と韓国の協力関係が、第2セッションでは人権問題の改善策がテーマとなった。第1セッションで、延世大学のリー・ジュンホン教授は朴政権の信頼構築プロセスは平和的統一の最終目標に沿って「ユーラシア構想」「非核地帯平和公園」などの大構想を呼び掛けて北朝鮮との信頼関係を再構築しようとしていると解説。李花女子大学のパク・インヒ教授は「信頼の政治」は朴政権の外交政策の柱であり、国際社会と協力することによってのみ可能だと指摘し、北朝鮮に関して特に英国は政治的対立を避けた英語教育や文化交流などで積極的に関与していることを評価した。英国側からは日本・東アジア研究センターのルス・タプリン所長が、英国企業は再開した開城工業団地への投資、北朝鮮内での中小企業の起業支援などを行って経済発展を助けるべきだと述べた。
第2セッションでは、延世ロー・スクールのホン・ソンピル准教授が北朝鮮人権問題の特殊性と解決の困難さを説明した。「アジア的封建制と王朝の伝統に埋め込まれた全体主義国家」の北朝鮮では金一族への崇拝が徹底化され、反体制派は皆無。外部との交流が閉ざされている上に、隣国の中国やロシアは人権問題に無関心だったため、北朝鮮の人権改善の見込みはこれまでなかった。しかし、国連や人権団体などが15年前から脱北者の証言などを深刻に受け止めて国際的な告発運動を始めている――。
これに対して、英国側からリーズ大学のキャスカート講師が、北朝鮮が脱北者の証言に対抗するため国際的プロパガンダを行っている現況などを発表した。また、ロンドン大学のホーア教授(初代駐朝英国代理大使)は人権蹂躙だけを声高に告発するのは逆効果であり、経済発展を促進し、企業や人材の訓練を提供しながら長期的関与によって改善を促すべきだと述べた。アルトン上院議員(北朝鮮に関する超党派議員団委員長)は、「北朝鮮が人権弾圧の証拠に目を背けて改革を拒絶するなら、反人道犯罪で起訴される道を開くことになる」「必要なのは、安全保障の言葉と同様に人権の言葉を流暢(りゅうちょう)にしゃべることだ」と語り、人権蹂躙に対しては毅然(きぜん)と声を上げて真実を伝えなければならないと訴えた。