平和協定は北朝鮮を利するだけではない


韓国紙セゲイルボ

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北朝鮮が5月に「潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射に成功した」と主張し、公開された写真(EPA=時事)

 最近、南北韓の平和協定問題がイシューとして浮上している。北朝鮮は積極的だが、韓国政府は非常に懐疑的だ。しかし本当に平和協定は韓国の利益にならず北朝鮮だけの議題なのか。

 北朝鮮は冷戦が終息した1990年代から停戦協定を平和協定に変えようとする試みを展開してきた。最近でも10月に李洙墉(リスヨン)外相の国連総会演説をはじめ、同じ主張を続けている。

 これは通常、北朝鮮の欺瞞術策と認識されている。北は平和協定で韓国動乱を公式に終息させ、国連司令部を解体し、米軍撤収を企てると見られている。分断を永久化させ、核国家としての地位を認められようとするという疑惑も強い。

 しかし、平和協定が米軍撤収につながるという憂慮は行き過ぎた飛躍だ。韓米同盟はすでに韓半島を越えて、地域とグローバル次元へ拡大した。平和協定が分断を永久化させるという主張も誤った判断だ。既に南北は1991年に個別国家として国連加盟した二つの国家である。

 したがって平和協定が核国家としての北朝鮮の地位を認める結果につながる可能性だけを遮断すれば、平和協定が韓国の利益を脅かす可能性は解消される。現実的により大きな脅威は平和協定が持った危険性でなく、解決の可能性が見えない状態で北朝鮮の核能力だけが引き続き高度化されているという事実だ。平和協定を非核化とともに積極的に議論することが必要だ。今の状況で平和協定は北朝鮮を動かして、非核化を推進できることの唯一のカードである。

(金材澈(キムジェチョル)カトリック大教授・国際政治学、12月4日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。